捨てられるものから、価値を拾い上げる。GOOD NATURE STATION×杉乃精が目指す新しい循環のかたち。

捨てられるものから、価値を拾い上げる。GOOD NATURE STATION×杉乃精が目指す新しい循環のかたち。

GOOD NATURE STATIONは、モノ・コトを判断する基準として「心、地域、社会、地球にとって健康的でしあわせであること」を、大切にしたいと思っています。そんな私たちにとって、京都市右京区京北(けいほく)で「杉乃精」の村山寛さんが、杉や檜、クロモジなどの間伐材でつくる精油は、まさにこの考えに沿うものでした。村山さんが進める地域資源を一切無駄にしないものづくりは、他の地域の生産者の方々にとってもヒントになるはず。今回は、私たちが村山さんとともに行っている商品開発や循環型のものづくりへの挑戦についてご紹介したいと思います。

 

捨てられるものに価値を見出せれば、新しいビジネスになる

GOOD NATURE STATIONと「杉乃精」の出会いは2年前。北山杉の間伐材を利用した精油づくりをしていることを知り、「私たちが求めるものづくりに近いのではないか」と興味を持ったことがきっかけです。

 

 

「杉乃精」では、通常であれば廃棄されてしまう間伐材を、精油の原材料として活用しています。山林の中に残された杉やクロモジの間伐材を集め、枝葉を細かく粉砕し、汲み上げた地下水を使って蒸し、その蒸気から精油を採取します。釜を炊くにはガスや電気を使わず、廃材や残木を薪として利用。つまり、精油をつくることが山林の整備や産業廃棄物の抑制にもつながっているのです。

 

私たちは工房を見学して、精油採取のプロセスのすべてにおいて、自然との循環が考え尽くされていることに深い共感を覚えました。当施設の店舗開発に関わる本山喜之は、「杉乃精」とのコラボレーションに大きな期待を抱いています。

 

本山:「村山さんが確立した循環型農林業には、『捨てる』という行為がないのです。この事例なら、きっと他の地域の生産者さんにも共有し、広く役立てていただけると思いました。産地では廃棄されているものも、精油にすることで新たな価値を生むかもしれません」

 

 

たとえば、梅の産地で剪定された枝を持ち込み、村山さんにお願いして精油にできるかどうか実験をしてもらいました。残念ながら精油の抽出は難しかったのですが、梅の香りがするフローラルウォーターができました。

 

 

本来なら捨てられるはずのものから、新しいビジネスが生まれて地域が活性化する。私たちは「杉乃精」や村山さんと一緒に、そのような新しい循環を生み出していきたいと考えています。

 

GOOD NATURE STATIONでは、3階のGOOD NATURE STUDIOで「杉乃精」の精油シリーズ「京乃香 – Kyonoka -」の取り扱いを予定しています。また、原材料に「杉乃精」の精油を使ったオリジナルコスメを開発中です。心や身体のリラックスやお肌のケア、抗菌など、精油ならではの効果を感じていただきたいと思います。

 

ローカル体験ツアーで、“GOOD NATURE”に触れる

近年は、混雑した観光地を避けて、それほど知名度は高くなくても魅力のある郊外を訪れて、人や文化、コミュニティと関わりを重視する「アンダーツーリズム」に注目が集まっています。GOOD NATURE STATIONでも、アンダーツーリズムの一環として、ゲスト向けに“GOOD NATURE”を体験していただくローカル体験ツアーを企画しています。そのひとつに「杉乃精」への工房見学ツアーもラインナップするかもしれません。

 

「杉乃精」では、毎週水曜日に「工房見学ツアー」を行っています。工房で精油採取の見学・体験のほか、精油を採取した後のクロモジの枝葉を使った「足浴」も。

 

 

そしてランチには、工房に併設された窯で焼いたピザをいただくことができます。工房の杉やクロモジの香りに癒されながら、生地に好みの地元野菜をトッピング。焼きたてのピザを受け取って、大自然のなかで頬張る瞬間はしあわせそのものです。他にも京北名物の納豆を練り込んだ納豆もちや、ファイヤーハスク(籾殻由来の燃料)で焼く焼きおにぎりも用意されていました。

 

 

村山:「近頃は日本各地で生産される和精油が海外でも人気なんですよ。つい先日も、ニューヨークや香港、台湾から工房見学ツアーに参加された方がいましたね。精油採取を見学し、とても喜んでいただきました」

 

村山さんの常識にとらわれない自由さが、自然と人を惹きつけるのでしょうか。精油の原材料になる杉やクロモジ、薪になる残木や廃材、そして工房見学ツアーの人たち。「杉乃精」には、不思議と人もモノも集まってきて、どんどん面白い動きが起きていくようです。

 

GOOD NATURE STATIONが考える「アンダーツーリズム」は、その土地でしかできない体験がある場所や村山さんのような生産者のもとへ、ゲストのみなさんをご案内すること。生産者の方にとっても、実際に商品を手に取る人たちと交流することでさまざまな発見があるかもしれません。

 

自然豊かな郊外を訪れ、生産者の思いに触れて、その地域にとってのしあわせを体感していただくこと。それがまさに、私たちがお伝えしたい“GOOD NATURE”な体験なのです。

GOOD NATURE JOURNAL編集部
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