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「観光」という視点を取り入れることで、 農業の未来に貢献したい

「観光」という視点を取り入れることで、 農業の未来に貢献したい

株式会社ビオスタイル EAT(マーケット)営業部/店舗開発部マネージャー|本山喜之

 

GOOD NATURE STATIONでは、生産者の方々と共に、農業体験をはじめとして、生産地を訪れるさまざまなプログラムづくりを進めています。

 

そうした取り組みによって、生産者の方々に「観光収入」という新たな収入源をもたらすことができます。それは同時に、のんびりした場所で豊かな時間を過ごす「アンダーツーリズム」の提案でもあります。今回はそのための私たちの取り組みをご紹介します。

 

作物を育てているからこそわかること

「ここから化石が見つかったらしいんやけど、何かわかるか?」

 

ある日、京都・伏見のタケノコ農家さんにお会いした時のこと。ふとこんなことを尋ねられました。まったく見当もつかなかったのですが、答えを聞いて驚きました。その化石は「チンアナゴ」だったのです。

 

もし本当にチンアナゴなら、大昔にはこの場所は海だったことになります。京都市内は海から遠いと思い込んでいましたから、余計にびっくりしました。

 

京都でタケノコと言えば洛西地区が有名ですが、実は東山でもタケノコはたくさん採れるのだということを教えていただきました。

 

しかも、西山と東山は同じような粘土質の地層であるという共通点があり、それはかつて海だったことに由来するのだそうです。タケノコが育ちやすい土壌に海が関係していたなんて、そこで作物を育てている方でなければわからないことですよね。

 

その他にも、実際に訪れるからこそわかることがあります。

深草で無農薬のタケノコを作られている生産者の竹林は日光が全体的に当たるようにしています。春であれば柔らかな日差しと爽やかな風を感じる事ができさらに朝はウグイス、メジロの鳥のさえずりも聞く事ができます。

 

収穫のお手伝いをしていた時に休憩時間に温かいお茶とサンドイッチを食べながら上記の“五感体験”をした時は本当に至福な時間を過ごしました。

 

そういう実体験ができる場所はたくさんあり「もっと色んな人に知ってもらいたい!」そう思うようになりました。

 

農業体験を通じた「観光」によって農家の方たちと二人三脚で歩んでいきたい

現在の農業と観光の関わりは、イチゴ狩りや芋掘りなどの娯楽的な要素の強いものが主流です。一方で、農家の方が実際に行っている田植えや畑仕事を手伝う農業体験型のものもありますが、やってみたくてもなかなか気軽に参加できるとは言いづらいのではないでしょうか。

 

その土地の魅力に触れながら、生産者の方のお話に耳を傾け、そして美味しいものを味わうことができる。そんな新しい観光の形があれば、きっと参加してみたいと思う人は多いはずです。

 

たとえば、先ほどご紹介した伏見のタケノコ農家。朝、きれいに手入れされた竹林を歩くと、鳥のさえずりが聞こえてきます。そこにシートを敷いて、朝ごはんを食べられたらさぞ気持ちいいことでしょう。

 

GOOD NATURE STATIONからは電車で20分くらいですから、マルシェキッチンで外出用のお弁当を提供し、ピクニックのように現地へ行って食べていただくのもいいかもしれません。広々としたところですから、小さなお子さま連れでも気にせず来ていただけます。食べ終わった後は、近くの伏見稲荷大社に参拝できるので京都観光も楽しめます。

 

その他にも、古民家のある場所なら、そこで採れたものを食べながら、農家の方のお話を伺うだけでも特別な体験になるのではないでしょうか。生産地の風景や人々の暮らし、その人が語る物語……作物だけではなく、価値のあるものは無数にあるのです。

 

 

こうしたアイデアが実現すれば、お客さまに生産者の方やそこで採れたものの素晴らしさを直接ご紹介できるだけでなく、生産者の方自身を支えることにもつながると考えています。

 

訪れたお客さまがお土産を買ってくださるといった直接的な収入が見込めるのはもちろん、お客さまとの間につながりが生まれ、継続的なお付き合いにつながる可能性もあります。

 

また、施設利用料をお支払いすることもできるので、生産物の販売収入に加えて「観光収入」という新しい形で生産者の方々との関係性を深めることができるのです。

 

農業が次世代へと受け継がれるために

私たちは、生産者の方々と多様性のある関係を築きたいと考えています。生産物を購入するだけではなく、観光などさまざまな手法を取り入れ、生産者の方が安定的な収入を得るために、私たちなりの取り組みを模索していきます。

 

収入が安定しているとわかれば、若い世代が農業に対して興味を持ち、現在の農業が抱える後継者不足の解決の糸口になるかもしれません。それが、私たちが美味しくて安全な食を受け取り続けることにもつながるはずだと信じています。

 

農業が次世代へと受け継がれるための新しい取り組みを、GOOD NATURE STATIONから発信していきたいと考えています。

 

本山喜之(もとやま・のぶゆき)

株式会社ビオスタイルEAT(マーケット)営業部/店舗開発部マネージャー。食品販売会社やカフェ経営などを経て2017年に入社。生産者の方々に寄り添いながら、安心・安全な食品をどうすれば消費者が気軽に楽しく取り入れられるか、そのルートづくりや店舗設計を行っている。

GOOD NATURE JOURNAL編集部