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17種類の和精油が伝える日本の風土と生産者の想い

17種類の和精油が伝える日本の風土と生産者の想い

北は北海道の亜寒帯から南は沖縄の亜熱帯まで。東西約3,000kmにわたる弧状の島国である日本。海に囲まれた国土の約3分の2は山地、面積の67%は森林という風土は、驚くほど多様な植生を育んできました。GOOD NATURE STATIONの3階には、そうした日本の気候風土から生まれた17種類の和精油を揃えたコーナーを設けています。一つひとつの香りには、それが生まれた土地の物語と生産者の方の地域への想いが込められています。

 

日本にしかない香りを京都で

GOOD NATURE HOTEL KYOTOの専用エントランスを入ると、華やかな香りに包まれます。これは、ホテルのコンセプトを香りで表現しようという試み。香りの監修をお願いしたのは、京都・嵐山の「素的生活倶楽部アロマテラピースクール」の校長を務める藤井京子さん。私たちがイメージしていた「京都らしい情緒を感じられる香り」を、日本各地の植物や果実から作られる和精油によって表現していただきました。

 

 

藤井:「なんといっても京都は日本を感じられる土地ですし、GOOD NATURE STATIONでは各所に国産材が使われるなど、日本的なものを意識されています。和精油は日本にしかない香り。日本の豊かな植生に基づく、その香りの多様性を知ってもらいたいと思ったのです」

 

その香りには「悠 はるか eternity」という名前が付けられています。華やかなローズ、爽やかな柑橘の香りに、乳香や白檀など古来日本で親しまれてきた薫香を融合。黒文字や藤袴などの和精油の香りが、京都らしい情緒を感じられる穏やかさをつくりあげています。

 

藤井:「和精油は外国の香りとも喧嘩せず、穏やかにしっとり落ち着かせて、なおかつ情緒ある気品を漂わせることに長けたものが多いと感じます。自分の家にいるような安心感、自分自身を取り戻すような安らぎを感じていただきたいですね」

 

この香りには、藤井さんご自身の思いも込められています。例えば、お正月の注連飾りにも使われる橙(だいだい)は「代々」に通じる縁起もの。「GOOD NATURE STATIONがずっと京都の人に愛されていくように」と願いをかけて調香してくださったそうです。メッセージを込めて香りを選べるのも、和の文化ならではかもしれません。

 

国内で唯一、生産者直送の17種類の和精油

 

精油と言えばハーブやラベンダーなど外国由来のものが多い中、実は日本の精油にも想像以上のバリエーションがあります。やヒノキなどの樹木、柚子などの柑橘類、そして月桃など独特な香り。こうした身近な日本の香りについては、まだまだよく知られているとは言えません。そこで、GOOD NATURE STATIONの3階、GOOD NATURE STUDIOの一角には日本の精油を集めたコーナーを設けました。

 

ガラスプレートの下のキャビネットに置かれた銀の茶筒を開けると、アロマストーンに焚きしめられた香りが立ち上ります。キャビネットには小さな引き出しがたくさんあり、蓋に書かれている番号の引き出しを開けると、その香りの商品が入っているという仕掛け。好みの香りを、楽しみながら探せるようになっています。こちらでご紹介しているのは17種類。生産者直送の和精油だけをこれだけ多く取り揃えて、香りを体験しながら選んでいただける場所は、国内ではほとんどありません。

 

 

 

 

香りの選び方は、「基本的に自分が『いい香りだな』と感じられるものを」と藤井さんは話します。アロマ・ディフューザーに入れて芳香浴で心身をリフレッシュしたり、お風呂に数滴たらして沐浴したりと、暮らしの中に気軽に取り入れることができます。また、いつでもお客さまからのご相談に応えられるように、売り場には藤井さんのトレーニングを受けたスタッフもいます。

 

藤井:「日本のネイティブな香りは、きっと日本の思い出にもなると思います。小さな瓶ですから荷物にもなりませんし、京都を訪れる世界中の人たちのお土産にもしていただけるといいですね。柚子の香りなどは海外でとても人気があるんですよ」

 

日本の自然を感じられる和精油は、海外の友人のプレゼントにも喜ばれそうです。

 

和精油と地域のサステナビリティ

 

果汁を搾ったあとの柑橘の皮や、林業の過程において生まれる間伐材など、従来は廃棄されていた資源を活用して精油づくりを始めた方もおられました。また、石垣島ではサンゴを守るためレンガづくりなどに使う赤土の海への流出を防ぐ目的で植えた月桃を利用して精油づくりが始まったといいます。日本の精油づくりは、資源の再利用から地域活性化につなげるサスティナブルな産業になりつつあるのです。

 

藤井:「若い人たちがどんどん都会に出て行って、やがて限界集落になって消えてしまうと、地域の伝統や習慣がすべてなくなってしまいます。なんとかこの土地にあるものを活用して地域を守りたいという生産者のみなさんの切実な願いを感じました」

 

 

一つひとつの精油の背景にある生産者の想いやストーリーを知ってもらうため、和精油コーナーには各生産者の資料を収めたキャビネットも設置しました。気に入った精油を見つけたら、キャビネットの引き出しも開けてみてください。日本の自然の恵みが生んだ香りと共に、土地に根ざした人々の息づかいを感じていただければと思っています。

 

藤井京子(ふじい・きょうこ)

京都市右京区出身。看護師、介護支援専門員、アロマセラピスト。看護師として総合病院、ケアマネージャーとして介護老人施設にて勤務ののち2011年に素的生活倶楽部を設立。アロマテラピースクールにてセラピストの育成を手がけると共に、産婦人科や介護施設などでアロマトリートメントや香りの演出などを行う。

 

 

 

GOOD NATURE JOURNAL編集部