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チョコレートの味を追い求めるパティシエールの挑戦

チョコレートの味を追い求めるパティシエールの挑戦

GOOD NATURE STATION パティシエール|高木幸世

 

GOOD NATURE STATIONの3階にはパティスリーの工房があり、パティシエたちがお菓子づくりに励む様子をご覧いただくことができます。そこで働くパティシエールの1人、高木幸世は主にチョコレートづくりを担当します。お菓子職人たちにとってチョコレートは、高度な技術が求められる特別な存在。そんなチョコレートづくりに果敢に挑戦する高木は、女性では珍しく海外での修業経験も持っています。今回は高木のパティシエールとしてのこれまでの歩みやチョコレートに対する想いを紹介します。

 

チョコレートの「味」に迷った日々

GOOD NATURE STATIONのパティスリーでチョコレートづくりを担う高木は、パティシエールとして歩み始めた頃から、チョコレートに対して特別な思いを抱いていたと話します。

 

高木:「チョコレートはパティシエにとっては『高嶺の花』。私が修業を始めた頃は、専門的な技術を身につけるまでは触れることすら許されないような材料でした。だからこそ憧れも大きく、製菓材料の一つとして専門的に扱えるようになりたいと思っていました」

 

同じくGOOD NATURE STATIONのパティシエでもある松下裕介と共に東京・神楽坂にデセールの店を開いてからは、さらにチョコレートの可能性に魅かれ、他の材料を足して美味しくすることに熱中しました。

 

高木:「ところが、次第にその行為に限界を感じるようになっていきました。例えば、ハーブやスパイス、変わったお酒などを加えていくとオリジナリティは出せるのですが、それは本当にチョコレートなのかと思うようになったのです。〇〇味のチョコレートではなく、チョコレート味の〇〇になってしまう。でも、オリジナリティは出さなければいけない。とても悩みました」

 

熟練の域に達した先輩ショコラティエの仕事を見ると、どんどんシンプルに、感性を研ぎ澄ませていくいことをヒントに、一つの答えを出します。大切にすべきなのは、口に入ったものがチョコレートであると伝えること。その一心でさらに仕事に打ち込みました。しかし、なかなか答えは見つかりません。

 

 

高木:「オリジナリティとチョコレート感のバランスが上手く取れたと思った作品を、あるコンクールに出品した時のことです。そのチョコレートを食べたフランス人の審査員の方から、『あなたの作品を見てチョコだと認識して食べた人のうち、何人の舌がチョコだと感じてくれるだろう?』と言われたのです」

 

この出来事がきっかけとなり、神楽坂のお店の閉店後、高木は修業のためにパリへ渡ることを決意します。

 

高木:「製菓材料の一つとしてチョコレートを考えるのではなく、カカオからできている素材として掘り下げたい。もっと深めたいと思ったのです」

 

パリで学んだ、体験や記憶の大切さ

パリではレストランに入店。デセール担当になりましたが、日本でやって来た仕事とはアプローチの仕方から違っていました。

 

高木:「頭を相当やわらかくしておかないと、ついて行けません。例えば、今日のゲストは家族の誕生日祝いで来店され、お酒もフルーツもたくさん召し上がっているから、デセールはチョコレート。それを受けて、『さあ、どうつくる?』と問われます。日本ではコース料理の最後に出すデザートは多くの場合決まっています。多少のアレンジは加えても、一から新しいものをつくることは滅多にありません」

 

そこで学んだのは、普段から幅広い視野を持って物事を見聞きし、経験を蓄えることでした。

 

高木:「畑でもいだばかりのトマトの青くて甘い香り。風に揺れるハーブの爽快感。さまざまな記憶や知識を経験値として引き出しに入れておき、必要な時に素早く取り出して使う。そんな仕事の進め方がとても勉強になりました」

 

 

熱のこもった日々を送るうち、あっという間に9ヶ月が経過。リヨンにあるパティスリー併設のレストランからオファーを受け、引っ越しの準備をしていた時、松下から連絡が入りました。

 

高木:「フランスで学べることは多いかもしれないが、あちらこちらを渡り歩いて、その後のキャリアはどうするのかと尋ねられました。『日本にチャンスがあるなら戻って掴むべきだ』という一言で、引っ越し先をリヨンではなく日本に変えました」

 

最高級カカオを使った「ビーントゥバー」

自由で柔軟な発想法や経験値を得て、一回り大きく成長して帰国。その経験を活かして、GOOD NATURE STATIONではパティシエールとしてはもちろん、主にショコラティエールとして活躍します。

 

フランスで学んだことを発揮するためにはどうすればいいか? 高木が出した答えは「Bean to Bar(ビーントゥバー)」でした。ビーントゥバーとは、原料であるカカオからチョコレートになるまでのすべての工程を手作りで行うというもの。素材の良さはもちろん、加工・調理のテクニックも求められます。

 

 

高木:「今や日本国内には100ヶ所近いビーントゥバーが存在すると言われています。その中で独自性を出すにはどうすればいいか、一生懸命考えているところです」

 

そうして高木は、理想のカカオを求めて、産地のコスタリカまで足を運ぶことになります。そこで出合った最高級のカカオを使ったビーントゥバーのチョコレートが、GOOD NATURE STATIONのパティスリーに並びます。どうぞご期待ください。

GOOD NATURE JOURNAL編集部