GOOD NATURE HOTEL KYOTOの客室には、タオル王国として知られる愛媛県今治を拠点とする「IKEUCHI ORGANIC」のタオルを常備しています。サスティナブルな取り組みを進めるホテルとして、タオルにまでこだわりたいと考えていた私たちが出会えた「IKEUCHI ORGANIC」。このファクトリーブランドから生み出されるタオルは、製品が完成するまでに関わるすべてのスタッフのあらゆる努力や信念によって、世界一安全で精密、かつサスティナブルなものであると言っても過言ではありません。そんなタオルについて、「IKEUCHI ORGANIC KYOTO STORE」店長の益田晴子さんに、お話をお伺いしました。
気づいたら見ないふりはできない
今年創業68年を迎える「IKEUCHI ORGANIC」。創業当初から今治を拠点に、コツコツとタオルづくりを続けてきました。その転機は1999年、しまなみ海道が開通した年に「もっと世界に向けて今治のタオルを発信していこう」と、自分たちが理想とするタオルづくり=オーガニックタオルの製造をスタートしました。
益田:「今ではオーガニックコットンを使ったタオルはよく目にするようになりましたが、当時はまだ珍しい取り組みでした。製品を作り発表していくなかで、多種多様なオーガニックの素材について、そして製造工程上にあるエネルギーの問題など、少しずつ勉強をしながら進んでいきました。 オーガニックの捉え方も人それぞれで、この製品でも十分だという方もいれば、染料や工場の電力まで指摘される方もいらっしゃいました。それがエネルギーにも目を向けるきっかけになり、今は風力発電を使ってタオルを製造していることから、 “風で織るタオル”というコピーがついているほど。気づいたのなら見ないふりはできないと解決に動くことで、タオルの精度をあげながら環境問題にも取り組んできました」
自分たちが信じるオーガニックタオルづくりを突き詰めていく中、2002年にはニューヨークのホームテキスタイルショーに出展し、New Best Awardを受賞。この受賞以降、「IKEUCHI ORGANIC」のタオルはさらなる進化を続けました。
最大限の安全と最小限の環境負荷
「IKEUCHI ORGANIC」が一番大切にしていること、それは最大限の安全と最小限の環境負荷でタオルづくりをすることだと言います。
益田:「一般的なレギュラーコットンは収穫量や収穫時期、そして収穫の効率化を測るため大量の農薬が使われ、遺伝子組み換えの技術も応用されています。それでは100%安全なタオルとは言えません。私たちが使うオーガニックコットンは、スイスのリーメイ社の管理のもと育てられているbioReプロジェクト(タンザニアとインドの綿農家と契約し有機農法の指導、管理、そして収穫綿の責任買取をしている)のコットンです」
さらに、染色加工工場では世界最高水準の浄化施設を採用しているほか、本社工場および直営店で使用する電力は100%風力発電によるクリーンエネルギーを使用。「製品そのものの最大限の安全と、製造する過程での最小限の環境負荷を常に考えながらタオルをつくっています」と益田さんは語ります。
こだわり抜いたオーガニックタオルが並ぶ京都・富小路三条の「IKEUCHI ORGANIC KYOTO STORE」では、タオルを実際に手にとって選ぶことができるフラッグシップショップのひとつです。
益田:「タオルはご自宅で使っては洗いを繰り返すもの。実際に何度も洗った状態の肌触りを体感していただくために、200~300回ほど洗濯を繰り返したタオルのサンプルを置いて、実際にSTOREにあるシンクで手を洗いタオルを使っていただきながらどんな風に“育っていくのか”を見てもらっています。何度洗ってもヘタらないこと、吸水力が落ちないことを知っていただき、よりお好みのタオルに出会うためのお手伝いをしています」
IKEUCHI ORGANICのタオルに触れた時の気持ちよさは、赤ちゃんの無意識の行動が証明してくれています。
益田:「赤ちゃんはすごく正直で、触ると無条件にうちのタオルを気持ちいいと感じるみたいですぐ口に持って行きますね。本当に感覚なんだなあと思います。私たちはここに並ぶすべてのタオルでエコテックス?スタンダード100のクラス1というスイスの認証を取得し、商品の安全に関しては数値化を行っています。エコテックス?スタンダード100のクラス1は、36ヶ月未満の赤ちゃんが口に含んでも安心安全だと認められたテキスタイルにつけられる基準です。IKEUCHI ORGANICではその基準となる規格や認定証をホームページで公開して、みなさんに直接ご確認いただけるようにしています」
ただ、どんなに安心安全を謳ったとしても、一番大切なことはタオルそのものの気持ちよさだと益田さんは話します。
益田:「私たちはとにかくタオルとして気持ちいいものでないと使い続けてもらうことはできないと思っているんです。その想いが第一で、そのためにチョイスした素材がオーガニックコットンであり風力発電なのです。そして、タオルづくりに携わる綿農家、織工場、染工場…働いている私たちも、買っていただく方も含めてみんながハッピーじゃないと続いていかない。そこから私たちの持続可能性を探っていきたいと思っています」
タオルを興味のきっかけに
タオルを通した持続可能性を追求していこうとする中で、益田さんが目にしたのが「GOOD NATURE STATION」開業というプレスリリースでした。
益田:「コンセプトがサスティナビリティだと目にして、お話が聞きたい!とすぐに動き出しました。オリジナルコスメブランドのNEMOHAMOのブランドストーリーや施設そのもののテーマなど、そのすべてが私たちが大切にしているものづくりの信念と重なると感じたんです。あまりにシンクロするので、この新しいホテルにIKEUCHI ORGANICのタオルを置いてもらえないなんて、絶対に嫌だと思ったほどです」
益田さんをはじめ、「IKEUCHI ORGANIC」のみなさんがGOOD NATURE HOTEL KYOTOにと提案してくださったのが、ブランドの真骨頂とも言えるコットンヌーボーでした。オーガニックコットンは毎年収穫されるコットンの品質や収穫量を一定にするのが難しく、そこがデメリットとされてきました。コットンヌーボーはそのデメリットを個性と捉え、その年ごとのコットンの表情の違いを楽しむという、まるでワインのボジョレー・ヌーボーのようなタオルです。
益田:「ホテルのコンセプトを読み込んでいるうちに、新しい提案ができると思いつきました。開業時には開業年にあたる2019年の刻印が入ったコットンヌーヴォーがお部屋に並びます。やがて時間が経てば、2020や2021のものが一緒に並ぶようになります。このホテルに宿泊されるお客さまなら、それに気づかれて、オーガニックコットンに興味を持ち、その違いを楽しめるに違いないと感じたんです。“経年優化”を大切にしたいというGOOD NATURE HOTELがこのタオルを採用してくださったことはとても光栄です。すべてにおいて真っ当なものづくりをすると、社会は変わっていく。これからも一緒にさまざまな取り組みをしていきたいと思っています」
「IKEUCHI ORGANIC」と歩幅を合わせタオルを通したサスティナブルな取り組みを継続するとともに、お客さまのちょっとした気づきのきっかけになることや、タオルを通したコミュニケーションが生まれることを私たちも心から楽しみにしています。
IKEUCHI ORGANIC KYOTO STORE
京都市中京区富小路通三条上ル福長町101 SACRA ANNEX1F
075-251-1017
11:30〜19:30
無休(年末年始を除く)