プラスチックに新たな価値を与える、ユニークな作品づくりが注目を集める、「Reprise」（リプライズ）。6月1日から30日まで、４階「GALLERY（ギャラリー）」にて、企画展 Reprise 延命～life extension～を開催しました。

鹿児島・霧島市を拠点に、WEBデザイナーやディレクターとして活動する、髙山元気さん、紗代子さん夫婦が立ち上げたプラスチック再生事業「Reprise」。活動のきっかけは、オランダ発のオープンソースプロジェクト「Precious Plastic（プレシャスプラスチック）」との出会いでした。

髙山元気さん：プラスチックをリサイクルできる機械を、オランダ人デザイナー、デイブ・ハッケンス氏が考案し、設計図やノウハウをオンラインで無料公開してくれているんです。設計図を基につくってみたのが、活動のはじまりですね。「Precious Plastic」は世界中に広がり、日本では障害をもつ人の仕事に生かされたりもしています。私たちはデザインの力で、廃プラスチックを素材として、工芸品をつくりたいと思っています。

「Reprise」髙山元気さん。「地球に GOODマルシェ」にてペットボトルキャップを使ったワークショップも実施。

展覧会に展示された作品は、陶器のようにも、絵画のようにも見えて、一見、プラスチックに思えません。

元気さん：廃棄されるものを、より価値のあるものに生まれ変わらせるのが、純粋に楽しいんです。プラスチックももとをたどれば、石油からできている、自然由来のもの。陶器の土やガラスと同じように、ひとつの素材ととらえて、作品をつくっています。

とはいえ、僕らがこの活動を続けるのは、2030年まで。プラスチックから、水素や炭素を取り出せば、燃料として使える。近い未来にはきっと、燃料として使われるようになると思うから。今あるプラスチックから、ずっと残したいと思ってもらえるような、価値ある工芸品をつくりたい。プラスチックはそもそも量産型で、同じものが均一につくられますが、ひとつひとつ思いをこめて手づくりすれば、愛着につながると思うんです。

企画展「Reprise　延命～life extension～」

美しくて、使える、工芸品に

工芸品のように、手をかけて、愛着のわくものをつくりたい。企画展「Reprise 延命～life extension～」にて展示されたのは、そんな思いを込めて、つくられたもの。アート性が高く、それでいて、実用性も兼ね備えた、作品づくりにチャレンジしています。

元気さん：廃プラスチックからつくりだしたプレートは、工業用の漆を塗り、食品衛生適合のレジンを施すことで食事に使えるように工夫を重ねているところです。まず、お皿としての土台つくり、削って、研磨していくのですが、手触りは、ふしぎと木っぽいんです。器としてはもちろん、カッティングボードにもいいと思います。

en -再生合成樹脂円盤-。直径28cm、厚み1cmほどの再生プラスチックプレート。表面に食品衛生適合のレジンを皮膜することでお皿として使えるように。会期中、食器適合試験に申請を行っていた。

一枚一枚に表情があり、唯一無二の存在感をもつ。

カラフルでかわいいmimic（ミミック）はコースターとして、GOOD NATURE STATION４階レストラン「Hyssop」でも使っています。

Hyssopで使われているコースター「mimic」

元気さん：マテリアルリサイクルとして、プラスチックや紙、建築現場で使用される、木材のおがくずを混ぜ込みました。劣化して、コースターとしての役目を終えれば、燃焼効果を上げる固形燃料として、再度利用できるんです。

ワークショップでできた端材を集めてランプシェードに。

会場でひと際目を引いた、カラフルなランプシェードは、ペットボトルのキャップを使ってオリジナルシートをつくる「地球にGOODマルシェ」ワークショップで出た端材でつくったもの。光が透けて、思わず見惚れるほどきれいです。同じくキャップを使ったアクセサリー制作のワークショップも、まるでガラス玉みたいな、可憐な仕上がりで、参加者のみなさんに大好評でした。

「Reprise」が見せてくれたのは、プラスチックの明るい未来の想像図。使い捨ての連鎖を断ち切り、未来につなぐ、延命。可能性は無限です。